カンボジア北部、シェムリアップからおよそ100kmの森の奥深くに広がるのがコー・ケー遺跡群です。
10世紀前半、クメール王国の首都が一時的に置かれた場所であり、わずか20年足らずの短い栄華ゆえに「幻の都」と呼ばれています。
2023年には、カンボジアで4番目の世界遺産として登録され、いま注目を集めているスポットです。
2023年には、カンボジアで4番目の世界遺産として登録され、いま注目を集めているスポットです。 |
コー・ケー遺跡 基本情報
• 時代:10世紀(928年〜944年)
• 宗教:ヒンドゥー教
• 建設した王:ジャヤヴァルマン4世
(ハルシャヴァルマン1世とイーシャナヴァルマン2世の伯父にあたる人物)
• 建築様式:コー・ケー様式
• 寺院形態:ピラミッド型寺院
観光情報
• 入場料:15USD(アンコール・パスは利用不可)
• 見学時間の目安:1時間半〜2時間
アクセス
• シェムリアップ市内から車で約2時間
• シェムリアップ国際空港(SAI)から約1時間20分
• 食事スポット:遺跡入口付近にレストランあり。クメール料理(チャーハン、焼きそば、スープなど)を5〜8USD程度で楽しめます。

短き栄華を誇った王都
この地が王都となったのは928年から944年までの17年間。
当時の王ジャヤヴァルマン4世は、アンコールからコー・ケーへと遷都し、壮大な都市建設を行いました。
彼の治世の象徴とも言えるのが、高さ約36mのピラミッド型寺院「プラン」です。
頂上からは果てしなく続くジャングルを一望でき、その姿はアンコール遺跡群にはない独特の迫力を放っています。
ジャヤヴァルマン4世の死後、王権は短命に終わり、都はふたたびアンコールへ戻されました。こうしてコー・ケーは短期間だけ栄えた“幻の都”として歴史に名を残しています。
見どころと特徴
コー・ケー遺跡群の魅力は、そのスケールと独創性にあります。
• ピラミッド型寺院プラン:7層の基壇を持つ巨大建築。頂上からは360度のパノラマを楽しめます。
• プラサット・プラム:樹木が絡みつく五つの祠堂。自然と遺跡が織りなす幻想的な風景が広がります。
• プラサット・ニエン・クマウ:「黒い貴婦人」と呼ばれる祠堂。石材の酸化によって黒く変色した姿が印象的です。
• プラサット・ドムライ:象の彫像に守られた祠堂。神聖な守護を象徴しています。
• プラサット・トム:環濠を備えた巨大寺院。王権と宇宙観を象徴する重要な遺跡です。
さらに、力強く生き生きとしたレリーフや巨石を用いた建築は、コー・ケー独自の美術様式を今に伝えています。
訪問のポイント
• シェムリアップから車で約2〜3時間。ベンメリア遺跡と合わせて観光するルートが人気です。
• 遺跡群は広大で、20か所前後を巡ることができます。観光時間はおよそ1時間半〜2時間が目安。
• アンコール・パスは使えず、別途チケット(15USD)が必要です。
• 一部エリアは未整備のため、必ず観光ルートを守り、ガイド同行がおすすめです。

コー・ケーの魅力を一言で
アンコール・ワットの壮麗さとはまた違い、森に抱かれた神秘の空間を体感できるのがコー・ケーの魅力です。
静寂の中で歴史の鼓動を感じることができる、まさに“隠された都”と呼ぶにふさわしい場所です。